プレゼント(小説)

「ちゃんと約束してたじゃないっ! バカっ!」
 そういってケータイを放り投げたのは昨日の夜。
 投げた瞬間はかっとしてたから何も思わなかったけど、床に落ちたケータイ見てあわてて拾い上げたわ。壊れてたらどうしようって。
 変なところ気が弱いのに何で投げちゃったんだろう。

 ケータイは無事だったけど私の心はぜんぜん無事じゃない。
 仕事が忙しい彼氏だけどイブだけは休めるって聞いたからその日のために服だって買ったしプレゼントだって選んだし、新しい口紅まで買ったのにいきなり「明日仕事」だなんて!

 おかげで23日の夜は冷蔵庫にあった明日飲むためのシャンパン一気飲みしてしまったくらい。ちょっと頭が痛い。
 昼になっても着替える気にもなれず、TVつけても見る気になれない。
 この日をどれだけ楽しみにしてたかって男なんかに分かるはずないんだ!
 また思い出してむかむかしてきた。ついでに胃もむかむかしてきた。

 今日は流行のイタリア料理の店を予約してあるからって今日までに減量しておいしいもの食べるモードだったのよ私の口は!
 それなのに、夕方になっても何も食べる気がしないし作る気もしない。家にあるのはカップラーメンくらいだわ。むなしすぎる。

 仕方なくカップラーメンをすすり、でも服はパジャマのままだし化粧もしていない。もう出かける気もないし別にいい。
 そこへ突如としてインターホンがなる。
 まさかね? 彼? そういうドッキリ???
「はい」
『お届けものです~』
 聞いたことない男の人の声。なんだ、荷物ね。
「はーい」
 玄関行ってはんこ手にしてドアをちょっと開ける。普通に配達のおじさんだ。
「はい」
「ありがとう」
 受け取った荷物は軽かった。
 ただ、見慣れた右上がりの文字だけが私に『メリークリスマス』っていってる。
 なんだろなあ、いろいろ不器用なくせに、最後は喜ばせてくれるのね。
 ドアを閉めている私は彼にどういうメールを送ろうかと考えて、にやにやしているに違いなかった。 
[PR]
by tatsumakido | 2007-12-24 21:08 | 雑記
<< 年末年始 遠くで聞こえる(いつも同じ:改... >>